|
夏休みは少女にとって解放の季節だ。
肌を焼くような日光を体に感じて、少女は幸せだった。 頭を高く揚げて、陽を浴びる。 ひまわりのように少女は成長していく。 夏にはそんな魔法があるらしい。 長い茎と輝くような花は少女そのものだ。 ひまわりの間を跳ぶように歩く少女は自由を謳歌している。 |
|
|
|
教室で少女は異端者だ。
整列が嫌いだった。 制服が嫌いだった。 給食が嫌いだった。 そして、何よりも全員が同じ方を向いているのが嫌いだ。 何故? 何故一緒なの? と問う声が少女を振り向かせる。 |
|
|
見回せば、同じ服に同じ持ち物。
少女は悪寒を感じた。 顔さえも同じに見える。 制服を脱ぎ、自由になる夏が少女の季節だ。 ひまわりのように、思いっきり顔を太陽に向け、背筋を伸ばせる夏こそが。 |
|
|
|
「何をしているの?」
少女はバッタに聞いた。 「君は何をしているの?」 バッタが少女に聞きかえした。 「自由を楽しんでいるの」少女は答えた。 「同じだよ、僕も自由を楽しんでいるのさ」 少女は微笑んだ。 「じゃあ、私達は仲間なのね」 「君も自由、僕も自由。仲間なんかじゃないさ」 バッタはそう言い残すと、他のひまわりへと飛んでいった。 |
|
|
しばらく少女は考えていた。
頭の上を蜂が飛んでいる。 「何か探しているの?」と少女は問う。 「蜜のある所を探しているんだよ」蜂は答える。 「そこに美味しそうな蜜がありそうだ。邪魔だからどいておくれ」 少女は慌てて,ひまわりのそばから離れた。 |
|
|
|
蜂はひまわりの花にもぐりこんだ。
「美味しい蜜はたくさんあった?」 少し離れて、少女は聞いた。 「たくさんあるよ、花粉もね」 働きながら蜂は答えた。 「悪いけど、君と遊んでいる時間はないよ。巣の中で仲間がたくさん待っている」 足にいっぱい花粉をつけて、蜂は巣をめざして飛んでいった。 |
|
|
顔を太陽に向けたひまわりの花のとなりに、少女はうつむきかげんの花を見つけた。
不思議に思ってそばによると、はなびらはもう枯れはじめていた。 中にはぎっしりと種ができているらしい。 少女はそっと触れてみた。 固い種ができていた。 種の重みでひまわりは、だんだん頭がたれてくる。 少女はひまわりから離れると、また跳ぶように歩いていった。 |
|