森のバラード

   ぼくの行く並木道には
   靄(もや)がかかっていて
   先が見えない
   でも
   ここは森への入り口だ
   ぼくは 思いきって足をふみ出す
   深い森へ行くために
   森を探検するために
      
          
  並木をぬけたその先に
  青いベールをかぶった森は
  ぼくを通してくれるかな
  ベールの下に隠された
  森の姿を
  見せてほしい
   高い山から見下ろす森は
   ベールをぬいだその後も
   何かをかくしているみたいだね
   向こうに広がる深い森に
   何か秘密があるのかな
   行ってみたい あの森に
   見つけてみせるよ
   森の秘密
      
          
  明るくなった森は
  その姿をぼくにそっと見せてくれた
  はるか向こうの山まで続く森は
  まるで一つのいきもの生物のようだ
  森の中にひそむ命を
  ぼくは知りたい
   太陽の光をうけて
   森はみどりにかがやき
   ぼくを迎え入れてくれる
   一歩踏み出すと
   森は その息を風にのせて
   そっとぼくに吹きかける
   まるで
   良く来たね と
   言っているように
      
          
  森の中に入って行くと
  つたのからまった 木の陰から
  妖精が飛び出して来る気がする
  ほら こっちだよ こっちだよと
  ぼくを案内するように
  飛び出して来る気がする
  森の奥には
  妖精のすみかが あるんだね
   森には小鳥達も住んでいる
   かわいい巣箱に守られて
   ひなを育てているんだよ
   空をさえぎる枝の間から
   こぼれる光を受け止めて
   せいいっぱいに 頭をあげて
   ちいさな花が 生きている
      
          
  もみの木の枝を借りて
  山ぶどうの葉が
  おしゃれを楽しんでいる
  誰にも見えないのに
  一人でおしゃれを楽しんでいる
  もしかすると
  妖精たちが来るのかな
  山ぶどうの葉をとりに
  誰かが来るのかも知れないね
  あの葉っぱで 洋服を作ろうと
  誰かが来るのかも知れないね
   枝の間をくぐりぬけ
   木の葉の間をかきわけて
   ゆっくりゆっくり 進んで行くと
   森の秘密が見えて来る
   森の命が見えて来る
   そっと静かに立っていると
   森の呼吸が聞こえて来る
   森の匂いも感じるよ
      
          
  あたりがだんだん暗くなって
  そろそろ 森も寝る時間だ
  あそこの塔は
  ぼくに出口を教えてくれる
  また 今度来る時も
  ぼくを歓迎してくれるかな
  秘密のベールをはずした森を
  もう一度 探検したい
  もっと奥まで 探検したい
   森は暗く黒くなって
   静かな夜がやってくる
   ゆっくり眠ったその後に
   森の向こうに朝日が昇る
   さあおいで と呼ぶように
   ぼくの森に朝が来る
   また 新しい日が始まるね
      





copyright© 2002-2003, Hiro Aono (poem)
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