冷たい息

photo by mum



     樹氷で飾られた木を見上げた
     首筋にふっと冷たい息がかかる
     振り向けばそこに貴女がいる
     白い衣装を身にまとい
     寂しげな顔で立っている貴女がいる
     いつからそこにいるの?
     誰を待っているの?
     貴女は微かな笑みを浮かべ
     そっと首を傾げる
     細かい氷のショールを羽織った貴女は
     日の光にあたると、空へと消えた
     貴女は樹氷の精?
     問いかける私の声に返事はない




辿って行けば

photo by mimusan



     新雪に足跡を誰がつけたのか
     辿って行けば
     白い世界の そのまた先へと続く
     全てのものが飲み込まれる洞へと続く
     全てのものが落ちていく洞の先は
     異形の者が住む別世界
     二度とは戻れない異世界で
     足跡の主は何をしているのだろう




氷の世界へ

photo by hiros



     ある日私は夢を見た
     氷の中へ吸い込まれる夢
     そこで私は結晶となって
     純化された世界へといざなわれる
     目にするものは全て青く
     触れればガラスのように硬い
     耳にするのは星の降る音
     目覚めてみれば ここは現実
     透明な世界は 夢のまた夢




そろそろ春

photo by mako




     もうそろそろ春ですよ
     いつまでもくっついてないで
     お母さんから離れて遊んでいらっしゃい
     もう寒くはないのよ
     あっちを見てごらん
     蚤とりをしてるわ
     蚤だってもう出てきたじゃないの
     春って分かってるのね
     あなたもとってあげるからおなかを見せてね
     蚤取りがすんだらひとりで遊ぶのよ
     いつまでも抱っこなんておかしいわよ




春の歌

photo by hiro




     聞こえるでしょう?
     ほら
     海のほうから聞こえるでしょう?
     あれは春を迎える海の歌
     耳を澄ませば波の間に
     微かに聞こえる春の歌
     今は小さな歌声だけど
     やがて海のコーラスとなり
     暖かい春を運んでくる
     あれは春を迎える海の歌




春だよ♪

photo by minami



     春だよ♪ 春だよ♪
     ぼくの好きな春だよ♪
     あっちにも蜜♪
     こっちにも蜜♪
     うれしいな♪ 美味しいな♪
     そんなに浮かれるなって?
     いいじゃないか 春だもの
     待ちに待った 春だもの
     羽目をはずして喜ぶのが
     春を迎えるぼくのやり方さ♪
     君もそんなに堅苦しくしないで
     一緒に春を謳歌しようよ




海辺の喫茶店

photo by binko



冬の浜辺を感傷に浸って歩いた
しかし 体は正直者
すっかり冷えて 感傷より暖かさを求めている
近くにある海辺の喫茶店へ入った
壁にかかるサーフボードが私の胸に刺さる
そう あの人もサーファーだった
やはり青い色のボードに乗っていた
私の冷たくなった心と体を温めるかのように
ストーブの上のやかんが湯気を立てている
座ってじっとやかんを見つめると
湯気の向こうにあの人の顔が見える
思い出の顔……あら?
思い出も年をとるのかしら……
注文もしていないのに テーブルに置かれたのは
私の好きなカプチーノ
思わず運んできた人を見上げる
そこには優しく微笑むあの人の少し老いた顔があった




それぞれの時計

photo by nomi

  時計草の名のように
  私たちの花は まるで時計の文字盤のよう
  知らない間に 毎日時を刻む
  見えないけれど 針が動いている
  私と 隣に咲いている花と
  同じ時を指してはいない
  私には私の 彼女には彼女の時がある
  時計はまわる ひっそりと
  それぞれの個性に合わせて 確実に時を刻む




雪は友達

photo by mimusan



こうやって首を出して見ても
あるものは 雪 雪 雪
みんなどこへ行ったんだろう
寒がりが多くて まだ出てこないんだろうか
ぼくは元気! 元気!
雪はぼくの友達さ
みんな 寒がってないで 出ておいで
一緒にあそぼうよ
雪はこんなにふかふかで気持ちいい
一緒に雪でかくれんぼしよう
おーい みんな出ておいで




表情

photo by mum



   冬の太陽が
   斜面に長い影を作る
   その日差しは
   春の訪れの近いことを知らせているようだ
   森の中の厳冬と
   草原の春の兆しと
   山は色々な表情を見せてくれる
   私たちは異なった顔に惹かれて
   いつも山へ登るのかもしれない




やじうま

photo by mako



     なんだ? なんだ?
     なにがあったんだ?
     わからないけど 何かあるらしい
     なにがあるって?
     さあ?
     みんな集まってるから
     何かあるんじゃないか?
     ワイワイ ガヤガヤ
     で? 結局なにがあったんだ?
     さあ?
     何があったんだろう?




春の先遣隊

photo by minami



    私たち春の先遣隊
    みんなに春を知らせるのよ
    あんまり暖かいのでお昼寝をしていたら
    お役目をすっかり忘れちゃったの
    そしたら 私の花びらが伸びちゃって……
    春はこれから
    周りはまだ蕾なのに
    これから張り切ってお役目頑張らなくっちゃ
    でも 私だけしわが出てしまって……どうしましょ




思索

photo by mimusan



   ウーム
   世の中は近頃どうなってるのか?
   ここにとまって眺めてみる 考えてみる
   鳥の世界が良く見える・・・はずだ
   人間の世界も見える・・・はずだ
   だが しかし
   ウーム
   あそこに蜜のある花が咲いているのは見える
   地面にはまだ虫が出てきていないのは分かる
   だが しかし
   他に見なくてはならないものはあるのか?
   ウーム




春近し

photo by mako

  


春が近づくと
水鳥も色々な行動をとる
あれやこれやと
おしゃべりをしながら泳ぐもの
他を寄せ付けず
ひとり悠々と泳ぐもの
また 恍惚状態でなにかに没頭するもの
さまざまだ
あの鳥は何をしているのだろう?
首をひねることも多々あるが
それも 近づきつつある春の空気のなせるわざ
微笑ましく のんびりとながめよう
だが あの鳥は水に頭をくっつけて
いったい何をしているのだろうね




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