初めての紅葉

photo by Rei



あれは 3歳の頃だったでしょうか
両親に連れられて公園へ散歩へ参りました
「見てごらん きれいだろう?」 との父の言葉に顔を空に向けて見上げますと それはそれは美しい色をした葉が目に飛び込んで参りました
「きれい・・・」 わたくしは驚きをもって紅葉をながめました
幼児の記憶はあてにならないとお思いかも知れませんが
あれほどの美しい紅葉をいまだに見たことはございません
お笑いになってもよろしいですよ
わたくしにとって最初の感動であったことは間違いないのですから




道標

photo by hiros



困ったときや悲しいとき
私はここへ来る
この流れの先には何があるのだろうかと
じっと滝を見つめながら考える
滝の音を聞いている間に
私は無心になる
それを待っていたかのように
私の行くべき道を
私のとるべき行動を
滝は教えてくれる
この滝は私の道標




追想

photo by mimusan



今日も朝が来る
太陽が朝を知らせている
空はこんなに美しいのに
私の心は沈んでいる
素晴らしい朝焼けも
私の心を慰めてはくれない
朝が来るたびに
私の心は暗くなる
今日も明日も 独りで迎える朝は
ただ悲しいだけ




ねえ あなた
あの方を慰めることはできないかしら
毎朝 空を眺めているのよ
私たちにとっては素敵な朝焼けも
あの方にとっては悲しみを増すだけのもの
私にはあなたがいて あなたには私がいる
あの方には 誰もいない
あの方の奥様は 空が赤く染まった朝焼けの日に
二度と帰れない空の彼方へ帰ってしまったから
あの方はひとりぼっちなの




秋の宴

photo by kei




秋を楽しんでいるのは
紅葉狩りをしているのは
人間ばかりじゃないさ
ぼくたちメルヘンの国の住人も
秋を楽しみにしているんだ
ぼくが抱えているトックリが見えるかな
今日はこれから宴会だ
冬がやってきて 葉がみんな落ちるまで
今日から毎日宴会だ
秋の夕暮れに
赤い葉をつけた大きな木の下に来てごらん
運がよければ ぼくたちの宴に出会うかもしれないよ




ぼくの庭

photo by nomi




小さいヤドカリのぼくだけど
こんなに広い庭があるんだよ
海へ行くのも大変なほど
広〜い 広〜い庭なんだ
毎日 毎日遊んでいても
飽きることない 素敵な庭
君にもわけてあげたいな




青い鳥

photo by minami



鳥でも花でも きれいな色は様々あるのに
青い色は 人に特別な感情を抱かせる
鮮やかな赤や黄色の鳥よりも
青い鳥が 幸せの象徴とされるのは
メーテルリンクの時代から
目にふれることの少ない青い鳥を
手の届かぬ幸せの象徴として
人は追いかけてきたのかもしれない
そばにいても 気づかずに
これからも追い求めていくのかもしれない




棚田

photo by hiros



高台に立って眺める棚田は
もう支度を終え 冬を待っている
私も 旅立ちの準備は とうに終えて
後は出発の決心をするだけ
旅の先には 冬が来るのか春が来るのか
まだ分からない
冬が来れば春が来る
それが自然の摂理と思いつつ
まだ旅立つ決心がつかない
棚田を眺めながら 今日もまた迷っている




燃える紅葉

photo by kei



燃えるような紅葉を
私は初めてみました
赤い色は炎のようにゆらめき
葉の命を燃やしているようでした
その赤い色は 私をくらくらとさせ
別世界へといざなうようでした
私はあわてて視線をそらし
誘惑を断ち切りました
そんな燃えるような紅葉を
私は初めてみました




私だったら

photo by minami



大きな滝 小さな滝
広い滝 細い滝
色々な滝を落ちてくる水は
何を感じるのだろう
ここの滝は細いからいやだ とか
あそこは広すぎるとか 思うのだろうか
私だったら
もし私が水だったら
静かな山間に流れる川
そこに落ちる滝の水になりたい
 




名残りの秋

photo by hiros



すっかり葉を落とした木々の中で
まだ 鮮やかな赤を残している木もある
秋から冬への過渡期に 森は色々な顔を見せる
冬枯れの森の中を歩いているときに
ふと見つけた赤い葉に慰められ
黄色の葉をまだつけている木を見かけたとき
頑張っているねと思う
秋から冬へ変わる森は 私の人生に似ている
いつでもほんの少し希望があった私の人生に似ている




華やかに

photo by nomi




白は一番華やかな色
色があるようで ないようで
清楚なようで 魅惑的で
地味なような 派手なような
でも
白は一番華やかな色
いつか白いドレスに白い花のブーケを持ち
華やかな花嫁になる夢を見る




カーテン

photo by minami



部屋の窓のすぐ外にある紅葉の枝は
カーテンのように垂れ下がっていて
常緑樹の緑とコントラストをみせている
不要なものを隠すカーテンは
庭をいつもよりすっきりと感じさせる
私の庭を美しくしてくれた紅葉に感謝しつつ
窓辺に座って ひと時の秋を楽しむ




夫婦(夫)

photo by hiros



しまった!
人間の道路に出てしまった
大変だ 体が金縛りにあったように動かない
どうしよう
あの怪物にぶつかったら大怪我をする
おや? 中にいる人間も動かないぞ
この隙に 逃げよう
体よ 動いてくれ
いやはや やっと助かった




夫婦(妻)

photo by minami



全くあの人はドジなんだから・・・
あれほど道路に出てはいけないと言っていたのに
私のように林の中から覗くだけにしておけばいいのに
好奇心が強すぎるんだわ
はやく逃げてきなさいってば!
そんなにノロノロしてたら ぶつかってしまう
速く走りなさいってば!
やれやれ 幾つになっても男は手がかかるわ




交代

photo by hiros



赤いもみじの葉がひとつひとつ枝から離れ
残りも少なくなった頃
みかんが日の光を浴びて色づいてくる
そろそろ主役が交代の時期
紅葉が終わってしまうのは寂しいけれど
美味しいみかんは魅力的
そんな私を「花より団子」と夫はからかう




視線の先

photo by minami



「みんなどうしたんだい?」 トラフズクが聞きました
シジュウカラもエナガも 同じほうを見つめています
「ほら あれ!」 とヤマガラが視線をはずさずに答えました
「あれ? あれってなんだ?」 トラフズクは怪訝な顔です
「あそこに人間がいてぼくらを狙っている」
と 今度はタヒバリが答えました
トラフズクはみんなの視線の先を追いました
夜にならないと良く見えないのですが それでも目を凝らすと
大勢の人間がこちらに何かを向けています
「大変だ みんな逃げろ!」
トラフズクの一声で みんな羽をひろげ飛び立ちました
後にはシャッターチャンスを逃した人間たちが残されました






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