初雪

photo by ayumi




朝 窓を開けると白い世界が広がっていた
まだ 紅葉の季節だというのに
秋咲きのバラが 雪を被って首をたれている
がんぱってるのね でも寒いでしょう?
鋏を持ち出し 家の中に活けた
バラは元気を取り戻し 花びらを大きく開いた
これでよかったのよね
家の中へ入れてよかったのよね
それとも 外にいたほうがバラのためだったのかしら
私はバラの命を短くしてしまったのかしら
小さな後悔が私の胸をチクッと刺した




覚えてますか

photo by Rei



今日 貴女の家の前を通りました
三年前と同じように つわぶきが咲いていました
主のいなくなった家は寂しげでしたが
玄関先にほころんでいるつわぶきの蕾は
まるであの頃の貴女のように初々しくて
貴女の面影を見るようでした
初めて貴女の家を訪れたとき
「何の花ですか」と聞くと
微笑んで 「つわぶきの花」 と答えてくれましたね
あの頃を 覚えていますか
主のいない家をながめながら
つわぶきの花に問いかけています
あの頃を 覚えていますか と




昔話

photo by kei



昔々あるところに・・・で始まるような
うさぎさんや たぬきさんや
きつねさんや 天狗さんまで
みんなが 秋の夜長を過ごしに来るような
仲良く輪になって踊っていると
お囃子が聞こえてくる
懐かしい 遠い昔に帰ったような
そんな光景が目に浮かぶ
ある秋の夕暮れ




空へ

photo by minami




夜明け前からスタートを待つ
わくわくする気持ちを抑えながら
スタートを待つ
太陽が昇り 空が明るくなれば
さあ 出発だ
さあ 空へ 大空へ
バルーンに乗って青い空を散歩する
ゆらーり ゆらりと散歩する
全てを忘れ 大きなにバルーンに身を委ね
いつまでも漂っていたい
私にとっての極上の時間
やがてバルーンは下降をはじめ
夢の時間は終わりになる




錦絵

photo by hiros




もみじの葉は なぜ赤くなるのか
緑 黄 赤と とりどりの色は
まるで錦絵のような情景を作り出す
足をとめて眺めると 絢爛たる世界が広がっている
もみじの葉が地に落ちる前に
土と同化する前に見せる 精一杯のパーフォーマンス
華やかな最後の舞台なのかもしれない




photo by mum



大きな樹には精霊が宿るという
森を歩けば オーラが私たちを包み
樹に触れれば 安らぎを覚える
全身が癒されるのは 森の精霊のおかげ
森を壊せば 精霊の怒りを買う
緑の森を 茶色の森 黒い森にしてしまったら
精霊は私たちに 安らぎと癒しを与えてくれるだろうか
私たちを許すだろうか
その時に悔やんでも取り返しはつかない




小さな花でも

photo by nomi



私たちみたいな小さな花でも 心が痛みます
大きな災害があると 心が痛みます
私たちの仲間や 樹や 動物たちが
被害を受けていないかと 心が痛みます
そして何よりも
多くの人々が苦しんでいないかと 心が痛みます
私たち小さな花は
ただ祈ることしかできません
全ての生き物が無事でありますようにと
ただ祈ることしかできません




けんかして・・

photo by ayumi



他愛もないことで夫とけんかをして 家を飛び出した
近所の公園をひとり散歩する
色づき始めた木々の葉は
私の気持ちを宥めるかのように 静かに揺れている
初秋の公園は人影もなく 寂寥感が私を満たす
夫とよく歩いた遊歩道
今日は景色も違って見える
風が強くなって 薄着の私の肌を刺した
もう 家へ帰ろう
意地をはらないで 夫の元へ帰ろう
夫が 仲直りのココアを作って待っているはず
さあ 家へ帰ろう




特等席

photo by minami



ここはオイラの特等席
見晴らし抜群の特等席
カラスも人間もまるみえだ
だれかが庭にパンくずまけば
さっと 飛んで一番乗り
ギャングのカラスが来る前に
どじなスズメが来る前に
オイラが最初に頂きだい!
ここはオイラの特等席




振袖

photo by hiros




今秋嫁ぐ貴女のために作った振袖
華やかさを出すために
光を表わすために使った金糸や銀糸
袖を通すのがたとえたったの一度でも
この振袖に貴女の幸せを祈る 母の心を込めました
送り出す私の留袖は
川面にたれる紅葉の模様
寂しさを赤く染まった葉に隠して
貴女をそっと見送る 母の心を込めました




シチメンソウ

photo by minami



我々は シチメンソウ
シチメンチョウじゃないよ
似てるって?
そう 色が似てるかもしれない
我々は干潟に育つ植物さ
海水につかっても平気 平気
夏には緑に 秋には赤に
干潟に来れば 我々の変身ショーが見られるよ
いつか きっと見においでよね




小さな真珠

photo by nomi



手のひらに乗せたやどかり
真珠色に光っている
手の上を動き回る
くすぐったい
でも いとおしい
こんな小さな生物でも
精一杯 頑張って生きている
こんなとき 命の尊さ感じる
そして 命の不思議を思う




野焼き

photo by minami



来年のために枯れ草を焼く
青々とした草原にするために 枯れ草を焼く
立ち上る煙は 次の世代への狼煙
春になれば 新しい命がはぐくまれ
良質の草原となる
そして季節はめぐり また枯れた草原は焼かれる
自然の営みと 人間の営みとが繰り返され
年月は過ぎていく
立ち上る煙は 次の世代へ営みを伝える狼煙かもしれない




食欲の秋

photo by minami



秋になるとどうして食欲が旺盛になるんだろう
美味しいものがいっぱいあるから?
空気がきれいだから?
それとも冬に備えて体力をつけるため?
理由はどうでもいいや
食べ物がいっぱいあって
おなか一杯食べられて
満ち足りた気分になれる
それだけで 幸せってもんじゃないか?






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