フィナーレ

photo by mako



空を夜に明け渡す前に
月に舞台を譲る前に
今日のステージを終える前に
太陽のフィナーレが始まる
その日の終幕にふさわしく
華やかな色彩が空を覆う
それは明日への期待と希望の色
素晴らしいフィナーレの残照を残し
太陽の出番は終わる




空色

photo by minami



美しい青い空に憧れた黒い蝶は
自分の羽もあのような色に染めたいと思う
合歓の花の蜜を吸う時も 蝶は空に願う
花も蝶の気持ちを知って
羽の色が空色になるようにと 一緒に祈る
空は花の願いと蝶の強い想いを受け止めて
ほんの少しだけ自分の色を分け与えた
蝶は喜び 感謝の気持ちを伝えようと
誇らしげに 空色模様の羽を見せながら
今日も合歓の花の周りを飛び回っている




砂礫に咲く花

photo by ayumi



思いたって山に登った
駐車場から頂上へ向かう道は広大な砂礫の斜面
植物が生息するには厳しい環境なのに
優しい色合いの花の群落を見つけた
岩の間に根を張って 逞しく生きている
花の色に似合わないその強さに驚き
協力して生きるその知恵に感動し
敬意を表して 頂上を目指した




夏色の花

photo by hiros



ひまわり それは夏色の花
顔に光を浴びて 真っ直ぐに太陽を見る
ひまわり それは夏色の花
あっというまに背が伸びて 大きく花を咲かせる
ひまわり それは夏色の花
夏が終われば 重い頭は地面を見つめる
ひまわり それは夏色の花




photo by hiros



甘美な香りに誘われて 夢の世界へと足を踏み出す
幻想の野原を彷徨いながら
いつしか深い眠りへといざなわれる
陶酔に身を任せ 幻惑に遊ぶ
やがて鼻をくすぐる香りが薄れ 目覚めの時が訪れる
見回せば そこには一面のラベンダー畑
あれはラベンダーの花と香りが見せた夢




音のある静寂

photo by minami



滝の傍へ行くと
轟音が耳につく
連れの声も聞こえないほどの水の音
一方で 魂に染み入る静寂
自分が1人だけそこにいて
静謐な時を過ごす
落下する水をただ見つめ
轟音と静寂の谷間に
自我を忘れて立ち尽くす




燃える花

photo by nomi



南国には赤い花が似合う
情熱と美しさとを持った大輪の赤い花は
時に少女の髪を飾り
少女の笑顔に応えて よりはなやかに咲き誇る
南国には燃えるような赤い花と
小麦色に日焼けして
赤い花を髪に飾った少女が似合う




コオニユリ

photo by minami



私達の種族は 減ってきているの
沢山の仲間に囲まれていると思われてるけど
少しずつ 減ってるのよ
私には何故だかわからない
でも 引き抜かれてしまうことも多いのよ
引き抜かれ その辺に捨てられてしまうの
どうしてそんなことを? と思うけど
私達にはどうすることもできない
だから地下の奥深くで
誰にもわからないように 子供を地下で育てて
少しでも多くの仲間を増やす事だけなの 




花と蝶

photo by mako



「今日も蜜の採集なの?」 花が聞く
「そうだよ 当たり前じゃないか」 蝶が答える
「毎日毎日 大変ね」
「仕方ないさ 生きるためだ」
「そうやって食べ物を集めるなんて考えただけでも疲れそう」
「君たちはどうやって食べてるの?」 蝶は不思議に思った
「私達は動かなくたってちゃんと栄養が取れるのよ
 根や葉が働いてくれるから」
「ふ〜〜ん 便利なんだね」 蝶は首をかしげた
「でもさ 退屈しない?」
「しないわ こうやって貴方たちが訪ねてきてくれるもの」
花はにっこりと笑った 




わかるかしら

photo by minami



私が何の花かわかるかしら
白くて小さくて 可憐とさえ言ってくれる人もいるのよ
自分にだって なぜあんなに不細工な実が出来るのか
ちっともわからないけど
仕方ないわね
あの実だって私なんですもの
たとえ 時々頭が空っぽ の意味に使われるとしても
嫌うわけにはいかないわ
そうなの 私の名前はピーマン




花粉

photo by mako



貴女はとても美しいけれど
その花粉 どうにかならないかしら
私の白い服についてしまって
もう取れないのよ
黄色のしみができて 台無しなの
貴女の白い花びらにもついてしまったら
まるで そばかすだらけの顔に見えてしまうと思うわ
だからその花粉 何とかしてもらえないかしら




セントポーリア

photo by ayumi



丹精をこめたセントポーリアの花が咲いた
ビロードのような葉と
シフォンのような小さな花
次々と開く花を楽しみながら
私だけの静かな時間を与えてくれるセントポーリアに感謝し
また来年も元気に咲いてねと そっと葉をなでる




夏近く

photo by hiros



夏の声を聞いても 山はまだ涼しかった
下界ではみかけない花しょうぶが
すっきりとした姿を見せている
心地よく頬にあたる風が
しばしの間 夏の暑さを忘れさせてくれる
ここは浮世の煩雑さから離れた別世界
いっときの休息の場所






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