空を夜に明け渡す前に
月に舞台を譲る前に
今日のステージを終える前に
太陽のフィナーレが始まる
その日の終幕にふさわしく
華やかな色彩が空を覆う
それは明日への期待と希望の色
素晴らしいフィナーレの残照を残し
太陽の出番は終わる
美しい青い空に憧れた黒い蝶は
自分の羽もあのような色に染めたいと思う
合歓の花の蜜を吸う時も 蝶は空に願う
花も蝶の気持ちを知って
羽の色が空色になるようにと 一緒に祈る
空は花の願いと蝶の強い想いを受け止めて
ほんの少しだけ自分の色を分け与えた
蝶は喜び 感謝の気持ちを伝えようと
誇らしげに 空色模様の羽を見せながら
今日も合歓の花の周りを飛び回っている
思いたって山に登った
駐車場から頂上へ向かう道は広大な砂礫の斜面
植物が生息するには厳しい環境なのに
優しい色合いの花の群落を見つけた
岩の間に根を張って 逞しく生きている
花の色に似合わないその強さに驚き
協力して生きるその知恵に感動し
敬意を表して 頂上を目指した
ひまわり それは夏色の花
顔に光を浴びて 真っ直ぐに太陽を見る
ひまわり それは夏色の花
あっというまに背が伸びて 大きく花を咲かせる
ひまわり それは夏色の花
夏が終われば 重い頭は地面を見つめる
ひまわり それは夏色の花
甘美な香りに誘われて 夢の世界へと足を踏み出す
幻想の野原を彷徨いながら
いつしか深い眠りへといざなわれる
陶酔に身を任せ 幻惑に遊ぶ
やがて鼻をくすぐる香りが薄れ 目覚めの時が訪れる
見回せば そこには一面のラベンダー畑
あれはラベンダーの花と香りが見せた夢
滝の傍へ行くと
轟音が耳につく
連れの声も聞こえないほどの水の音
一方で 魂に染み入る静寂
自分が1人だけそこにいて
静謐な時を過ごす
落下する水をただ見つめ
轟音と静寂の谷間に
自我を忘れて立ち尽くす
南国には赤い花が似合う
情熱と美しさとを持った大輪の赤い花は
時に少女の髪を飾り
少女の笑顔に応えて よりはなやかに咲き誇る
南国には燃えるような赤い花と
小麦色に日焼けして
赤い花を髪に飾った少女が似合う
私達の種族は 減ってきているの
沢山の仲間に囲まれていると思われてるけど
少しずつ 減ってるのよ
私には何故だかわからない
でも 引き抜かれてしまうことも多いのよ
引き抜かれ その辺に捨てられてしまうの
どうしてそんなことを? と思うけど
私達にはどうすることもできない
だから地下の奥深くで
誰にもわからないように 子供を地下で育てて
少しでも多くの仲間を増やす事だけなの
「今日も蜜の採集なの?」 花が聞く
「そうだよ 当たり前じゃないか」 蝶が答える
「毎日毎日 大変ね」
「仕方ないさ 生きるためだ」
「そうやって食べ物を集めるなんて考えただけでも疲れそう」
「君たちはどうやって食べてるの?」 蝶は不思議に思った
「私達は動かなくたってちゃんと栄養が取れるのよ
根や葉が働いてくれるから」
「ふ〜〜ん 便利なんだね」 蝶は首をかしげた
「でもさ 退屈しない?」
「しないわ こうやって貴方たちが訪ねてきてくれるもの」
花はにっこりと笑った
私が何の花かわかるかしら
白くて小さくて 可憐とさえ言ってくれる人もいるのよ
自分にだって なぜあんなに不細工な実が出来るのか
ちっともわからないけど
仕方ないわね
あの実だって私なんですもの
たとえ 時々頭が空っぽ の意味に使われるとしても
嫌うわけにはいかないわ
そうなの 私の名前はピーマン
貴女はとても美しいけれど
その花粉 どうにかならないかしら
私の白い服についてしまって
もう取れないのよ
黄色のしみができて 台無しなの
貴女の白い花びらにもついてしまったら
まるで そばかすだらけの顔に見えてしまうと思うわ
だからその花粉 何とかしてもらえないかしら
丹精をこめたセントポーリアの花が咲いた
ビロードのような葉と
シフォンのような小さな花
次々と開く花を楽しみながら
私だけの静かな時間を与えてくれるセントポーリアに感謝し
また来年も元気に咲いてねと そっと葉をなでる
夏の声を聞いても 山はまだ涼しかった
下界ではみかけない花しょうぶが
すっきりとした姿を見せている
心地よく頬にあたる風が
しばしの間 夏の暑さを忘れさせてくれる
ここは浮世の煩雑さから離れた別世界
いっときの休息の場所