貴女は慎ましく光るサファイア
ダイアやルビーのように華やかではないけれど
そこにいる貴女の存在を感じるものにとって
貴女の穏やかな煌きは 心を虜にする
いつまでもひっそりとそこにいて
静かに煌いて欲しいと思う
貴女は私の心のサファイア
花にうまれた君だけど
夜空に光が咲くように
夜空にぽっかり浮かぶように
夜空に丸く開くように
地面に咲いた花火のように
花を咲かせる君に
ついた名前は 墨田の花火
太陽の恵みを全身に受けて
花びらを大きく開き
ヒマラヤの空の色を映す
その鮮やかな青い色はヒマラヤの色
暑さの厳しい都会では
あっという間に色あせて
花は下を向いてしぼんでしまう
澄んだ空気と太陽のもとで生きていく
青い芥子は憧れの花
厳しい環境に耐えてきた
激しい風雨にもくじけなかった
例え希望のかけらも見えなかった時も
ただひたすら未来を信じていた
長い暗い時間を過ごし
ある日 微かな光を見た
硬い岩のわずかな割れ目からこぼれる光
そこに望をみつけ しがみついてきた
裂け目から這い出してきて見たものは
紺碧の空
やっと花開く事が出来た喜びを
決して忘れる事はないだろう
危険が待っているとも知らず
可憐な姿にだまされて 魅せられてしまった
囚われの身となって やっと気付いたその時はもう既に遅く
溶けつつあるわが身にさえ 恐怖を感じない
感覚がすでに麻痺しているのだろう
頭に霞がかかるように 何も考えられない
わかることは一つ やがて彼女の体内に取り込まれること
ただそれだけ・・・
蝶々さん 疲れない?
花びらにとまって ゆっくりと蜜を吸ってもいいのよ
空中で飛びながらでは 大変でしょう?
まるでアクロバットみたいよ
それとも花びらが細すぎて とまる場所がないかしら?
あざみはそう言ってくすっと笑った
蝶はアザミの言葉が聞こえなかったかのように
あいかわらず羽を小刻みに震わせて
花から花へと飛び回っている
小雨に濡れた葉の先に雫が見える
落ちそうで落ちない
いつ落ちるかと じっと見つめる
雨は既にあがり 薄日がさしてきた
縮んでいた花も こころなしか元気を取り戻したようだ
葉の表面についた雨も やがて蒸発するだろう
見つめられて 恥ずかしくなったのか
とうとう 雫がポトっと落ちた
それを見届けて 私はその場を去った
この間までちらほらと咲いていた花が満開になった
ほんの数日のことなのに
今は全ての蕾が競うように開いている
いつまで 咲いているのだろう?
花の命は長いほうがいい
できるだけ楽しませて欲しい
そう願うのは私のわがままだろうか
開きかけた花の何といとおしいこと
固い蕾が少しずつ膨らんで
一枚の花びらが 辺りをうかがうようにそっと開く
少女から大人になる時のように
好奇心で胸をいっぱいにして
小さな不安を心に秘めながら
全ての花びらを開いた時
目に映るのは まぶしい太陽と新しい世界
仲間の花たちと 虫や蝶や鳥
青春を謳歌する時のはじまり
初夏には白い花が似合う
北の国で一斉に咲き始めた白い花々は
春と夏をつなぐバレリーナ
やがて訪れる短い夏までが彼女たちの出番
ラベンダーやひまわりに舞台を明け渡すまで
涼やかに風に揺れて踊る
北国のバレリーナたち