柄杓の会話







「ねえ ねえ 今日はずいぶん人間がいると思わない?」
「知らないのかい? 今日はお彼岸と言って 人間達が墓に集まる日らしいよ」
「ふ〜〜ん いつも静かなこの場所も 賑やかなときもあるのね」
「あの人間達を見てごらん 不機嫌そうな顔しちゃってさ」
「仲が悪そうだわね あの人達」
「おっとっと 桶と一緒に僕がつかまれた 出番だな」
「いってらっしゃい あら 私もつかまれたわ」
「どうやら同じ墓へ行くらしいね」
「ええ でもお互いに何も話さないのはどうして?」
「さあ なんでだろう……」
「こっちの人 口の中で文句を言っているように聞こえるんだけど……」
「こっちもなんだか小声でぶつぶつ言ってるよ……」
「お墓の主はおばあさんらしいわ」
「兄弟で墓参りに来たようだよ」
「悪口言ってる…… 仲が悪いのね」
「イサンがどうだとか話してるよ」
「イサン? なにそれ?」
「良く分からんが ここに来る人間の多くが使う言葉だな」
「へぇ よほど大事なものなのね」
「おやおや 喧嘩を始めたよ」
「お墓の前なのに…… 二人に水をかけてやりましょうよ 少し頭を冷やすといいわ」
「OK せーの!」
「あらら 二人とも怒り出しちゃったわ」
「う〜〜ん 逆効果だったかなぁ」