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私が人間界にいた頃は
雪に描かれた紋様を 木の影だと思っていた
それが精霊達の会話だなんて
誰が知っているだろう
白い大地の精霊が
幼い私に残した影だけが 雪の上の影だけが
私にわかった唯一の 精霊からのメッセージ
精霊となった今の私は
全ての会話を理解する

      
      

荒々しく吹雪が通り過ぎたその後に
青く大きい空が広がる
木々に宿る精霊達が喜んで
新雪に落とす影も賑やかだ
雪の重みに耐え切れず 頭を垂れた木々たちも
日の光に助けられて 雪をはねのけ伸びをする


白い大地の精霊が
ある日私に言い渡す
「そろそろお前も独立のとき
 一人でこの地を守るのだ」
「あなたは何処へ行くのですか」
心許なげに私は聞く
「遥か北の その又北の凍った大地の片隅で
  氷が徐々に溶けている 何か異変が起こっている」
白い大地の精霊の 白い瞳がわずかに曇る
「凍った大地を救うため
  私はすぐに行かねばならぬ」
白い大地の精霊は
空気の流れを操って 極寒の地へと旅立った

      
      


私は大気に溶け込んで 白い大地を見渡した
雪の上に くっきりと描かれたメッセージ
白い大地の精霊が 最後に残したメッセージ

ーー私は白い凍土の精霊となり 
 極寒の地で務めを果たすだろう
 お前は私の跡を継いで 白い大地の精霊となり
 私の愛したこの土地を未来永劫守って欲しいーー

春の精霊が来るまでは ここは私が守る土地
白い大地の精霊に 私自身がなった今
委ねられたこの土地を ずっと守るは我が使命


もしも あなたが雪山の ピンクの光を見たならば
それは あなたが選ばれた証
そしてあなたが雪の上の 私が残したメッセージを
解読することができたなら
いつか白い大地の精霊が
あなたの前に現れる
白い瞳の精霊が 白い衣で現れる
その時が来るのを楽しみに
あなたに会えるのを楽しみに
私はゆっくり待つとしよう

      





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