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東へと東へと 歩いていけども精霊の気配はなく
小さな沼に浮かぶ草も花も
精霊の行方を知らない
たとえ水に囁きかけたとしても
私に答えてくれないだろう
行く手を阻む沼にため息をつき
ただ水面を眺めるだけ
頬を撫でる風は 私を慰めてくれるようだ
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体は疲れ 足は重い
そんな私をみかねたのか
沼に浮かぶ水草が手招きする
「水に浮かぶ葉の上を つま先でそっとのってごらん
向こう岸まで渡してあげよう」
好意に甘えて 葉の上に乗る
つま先で トン トン トン
軽やかに向こう岸まで飛び跳ねる
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迎えてくれたのは穂となったチングルマ
精霊に会いたいと 私はここでも訴えた
果穂はその穂をくるくる回し
私の願いを受け入れた
「湿原を渡る精霊は 日の落ちるころ姿をみせる
もしもあなたが辛抱強く ここで待っているならば
運がよければ会えるはず」
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私は花と会話を交わし
小さな虫と戯れて しばしのどかな時を過ごす
花も虫も私のために
精霊が現れるのを待っている
花も虫も私のために
日の落ちるのを待っている
夏も終わりに近づいた
この湿原の花々は
姿を変えて秋に備える
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日はゆっくりと西に傾き
そろそろ湿原を渡る精霊が
姿を現す頃合だ
私はじっと息をのみ
精霊の出現を待っている
風が私の頬かすめ
果穂の頭が風に揺れる
水面が小さくざわめいて
精霊の訪れを知らせている
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湿原を渡る精霊の
その姿を見たときに
私は傍へ駆け寄った
恋人の行方を知らないかと
尋ねる私に微笑を与え
湿原を渡る精霊は
謎の言葉を私に残した
「冬の初めになったなら
恋人と過ごしたあの山に
一人で登ってくるが良い」
その言葉を噛みしめて
私はまた旅に出る
恋人を探す旅に出る
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