poppy


私がここへ連れてこられてから
どのくらいの時が経っただろう
青いヒマラヤの空の下
優しい精霊の加護のもと
冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んで
暖かい光を全身で浴びた
あの故郷が懐かしい

      
      


山の向こうのそのまた向こうから
ヒマラヤの風の匂いが漂ってくる
もしかして あれはヒマラヤの精霊が
風に乗っているのかしら
私たちのところへ来るために
風を急がせているのかしら


精霊の声が私の耳に届く
「私の愛しい青い芥子たちよ
お前達が 元気にしているかと気にかけていた」
「私たちは元気です
でも 時々ヒマラヤを思い胸が苦しくなるのです」
「私の愛しい青い芥子たちよ
ここがお前達の生きる土地
この地に馴染み この地を愛し
子孫をここで増やして欲しい」

      
      


私たちは全員で 首をゆっくり縦に振り
精霊の言葉に頷いた
「私たちも この緑の大地が大好きです
でもヒマラヤの あの青い空が懐かしい
あなたの運んでくれる 風の匂いがなつかしい
もしも叶うことならば
どうか時々お姿を 私たちの前に現して
故郷の香りを届けてください」
ヒマラヤから来た精霊は
私たちをその懐に抱いて囁いた


「私はいつでもお前達のため
愛しい青い芥子のため
風に乗って飛んでくる
もしも悲しいことがあったなら
もしも辛いことがあったなら
私の元に届くように 風に思いを託しなさい」
私たちは安堵して
精霊を見上げ誓いの言葉を口にした
「これからは この大地に根をおろし
子孫を増やしてまいります」
それを聞いた精霊は
風に乗ると 優しく微笑み去っていった

      





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