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メリリンはマザーと一緒に一部始終を見ていました。
「さて、私は自分の仕事をしなければなりません。お前は何が出来るか自分で考えなさい」
マザーはそう言うと、木の枝を伝って、スルスルと広場へと向かいました。
メリリンは一人残されて、しばらく考えていました。
メリリンに出来ることなど、あまりありません。
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それでもメリリンは、マザーの後を追って木の枝を伝い始めました。
メリリンにとっては初めての大冒険です。
最初は恐る恐る、でも慣れてくるとマザーと同じようにスルスルと枝を伝っていきます。
何かをしなくては、と思ったわけではありません。
体が自然に動くのです。
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広場では怯えた子供達が固まっていました。
恐ろしくて、動くことが出来ないのです。
ただただ、ガッチーとズッチーの争いを見るばかりです。
大人たちはというと、二人を遠くから取り巻いて、ワイワイガヤガヤと叫んでいるだけです。
すると、広場の真ん中にマザーが降り立ちました。
さすがに威厳があります。
騒いでいた大人たちもシーンとしました。
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その隙を見て、メリリンは子供達に手招きをしました。
「こっちにおいで」
でも、子供達は動こうとしません。
メリリンはもう一度合図を送りました。
「早くこっちへおいで」
子供達のひとりが、そろそろとメリリンのほうへやってきました。
それにつられて、ひとり、またひとりと、メリリンのいる木へ登ってきます。
「急いで!」 メリリンはガッチーやズッチーが気がつかないうちに子供達を遠くへ避難させたいと思いました。
興奮している二人は、子供達に何をするかわからないからです。
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マザーは広場に仁王立ちになり、威嚇する声を出しました。
ガッチーはそれを聞いただけで、草の上にヘナヘナと座り込んでしまいました。
ガッチーはマザーがどれほど強いか身に染みて知っていたのです。
以前、マザーに歯向かって、酷い目にあったからです。
マザーは優しく見えますが、実際はとても強いのです。
「いつまでも懲りない奴だ」 マザーはガッチーを鋭い目で見下ろしました。
そして、ガッチーの尻尾を掴むと、くるりと結んでしまいました。
「お前がちゃんと改心するまで、尻尾はそのままにしておく」
マザーの言葉にガッチーはシュンとしています。尻尾はワオキツネザルにとっては、とても大事なものなのです。
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それを見ていたズッチーは、すばやく木に登ると逃げていきました。
「あ、ズッチーが逃げるぞ」 若い衆の一人が叫びました。
「放っておけ」 とマザーが答えました。
「しかし……」 長老が何かを言おうとすると、マザーが制止しました。
「今回の事件はガッチーが引き起こしたことだ。ズッチーがそれを利用したとしても、罰する理由はない」
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広場は静かになりました。
皆、何事も無かったかのように日常の生活に戻りました。
子供達も、いつものように遊んでいます。
メリリンも、マザーに甘えています。
メリリンはゴッドマザーになる素質の片鱗を見せました。そのことをマザーは嬉しく思いましたが、心配もまた増えました。
ズッチーがトップの座を諦めたわけではないことを、マザーは知っているからです。
メリリンがゴッドマザーになるためには、まだまだ試練を乗り越えなくてはなりませんが、賢いメリリンはきっと素晴らしいゴッドマザーになることでしょう。
おわり
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